砂丘の空を漂う海月

遠州灘沿いに東西約4km広がる中田島砂丘。アカウミガメの産卵地としても知られる。遠州大砂丘の一部を成し、日本三大砂丘のひとつに数えられるほどの砂丘ながら(三大砂丘については諸説あるらしいが)、鳥取砂丘のようにラクダがいるわけでもなく、リフトがあるわけでもなく、おみやげ物屋すらひとつもない(少し離れて浜松まつり会館という建物がありそこには売店が存在するが、砂丘を紹介する施設ではない)。その入口付近に「中田島砂丘」の名が石に刻まれているだけで観光地らしい感じはあまりなく、ただそこに自然な姿で砂丘がある。

そんな中田島砂丘の近くで用事があった日に1時間ほど空き時間ができ、砂丘近くの風車公園にクルマを停めて砂丘の方へと歩いてみた。鳥取砂丘ほどの広さはないものの、南北の距離は0.6km。砂地の上を波打ち際まで歩いて帰ってくるほどの時間はなかったので、せめて海が見えるところまで行ってみることにした。

何も遮るものなく砂丘を目にすると、空も広い。その広い広い空に、この日は雲が美しい。1枚シャッターを切って液晶を見ると、くらげのような、タンポポの綿毛のような・・・そんな風に見えた。
クラゲ雲なんて名前があるのかどうかはわからないけど、広い空を漂う様子は、さながらクラゲ。本当は巻雲・・・かな?尾流雲?
丘の上まで辿り着くと海が見える。波打ち際で小さな子がはしゃぐ声が微かに聞こえる。そこまで行きたかったけれどそれはあきらめ、そんな雲の移ろいをしばらく眺めていた。