米塚から阿蘇パノラマラインとも呼ばれる阿蘇吉田線を東へ進むと、広大な草原の放牧風景があらわれる。ぐるりと外輪山に取り囲まれたカルデラに阿蘇五岳がそびえる二重式の火山自体が稀有な風景なのに、そこに広がる草原に牛や馬が放牧されている風景は他に類を見ない。
また、時間ごとに移り変わる表情の違いも魅力のひとつだ。
阿蘇 中岳の噴煙と荒涼たる砂千里
念願だった。中岳の火口。
阿蘇には5~6度訪れたことがあったものの、噴火警戒レベルが高く入山規制がなされていたり、行程上時間がなかったり・・・
草千里までは何度も辿り着いていたのに、一度も見たことがなかった阿蘇中岳の火口。溶岩の岩肌をむき出しに噴煙を上げる、まさに活きた火山。ようやく辿り着くことができたその風景は、地球の脈動すら感じるとてつもないスケールだ。
そしてすぐそばにある砂千里ヶ浜もまた圧巻だった。ここを訪れるまでは、牧歌的な草千里の風景こそが阿蘇の魅力だと思っていた。しかし、草千里までの阿蘇が見せるのとはまったくスケールが違う。黒い火山灰と、荒々しい岩肌が織りなす荒涼たる風景。地球という「星」を感じる、惑星規模の絶景。ここを見ずして阿蘇の魅力を知っているつもりでいたが、大きな間違いだった。こんなものに飲み込まれれば人間なんてひとたまりもないであろう畏怖の念すら感じさせる。
初めて阿蘇を訪れた日から、おそらく20年以上が経っているだろう。そんな長い年月を経て、やっと本当の阿蘇の魅力に触れることができた。